もど記

はてなダイアリーとはてなハイクの後継

 好き嫌いの問題と言ってしまえば、それまでだが、「こう言えば他人を感動させることができる」みたいな言い方をする人間を、私は、どうしても好きになることができない。
 なにより、この程度の伝え方しかできない書き手が、伝え方の本を書いているということ自体、タイトルを裏切っている。
 もうひとつ言えば、他人に何かを伝えることをテクニックの問題だと考えている人間から人々が感取するのは、「思いあがり」だけだったりするということだ。そうでなくても、ある程度年齢の行った人間は、本書に書いてあるみたいなこまっしゃくれた語り口で他人を説得しようとする人間を信用しないことになっている。つまり、伝え方について、本に書いてある手練手管をそのまま援用する人間は、単純な話、墓穴を掘っていると言うことだ。
SIGHT (サイト) 2014年 02月号 [雑誌] p.189 『小田嶋隆の万巻一読 ブック・オブ・ザ・イヤー特別編 第30回「今年売れた本を読んで何か書くこと」について。そして、「今年売れた本」について』)