もど記

はてなダイアリーとはてなハイクの後継

 大学の国語学研究室というところには、テレビ番組に携わる人からしばしば質問の電話がかかってくる。その多くは、ほんの少し辞書などの基本ツールを見れば解決する(ないしは解決の糸口がつかめる)ものか、あまりに漠然としすぎていて何とも答えようのないものである。
 本などをみて分からないことを問うのではなく、ともかく電話して聞いてみようというものである。取材というのは、人に対してするものであって、書物に直接するなど、まだるっこしいことはしない、という態度を感じるのである。
どんくさいおかんがキレるみたいな。―方言が標準語になるまで (新潮文庫) 解説(岡島昭浩)より p.321

 その次の方言研究会(九一年秋)では、松本さんが発表なさった。当時はまだ、手書き文字だけで構成されている発表資料も多い時代だったが、カラーで印刷されたアホバカ分布図が配られたことに、我々、予算の少ない人文系の研究者は驚いた。発表内容も、人海戦術ともいえそうな郵便による調査に加えて、当時はまだ高かった市外電話を掛けまくったように見える調査、情報を吸い寄せるマスコミの力など、マスコミの人がこのようなことを調べると、こんなにも早く一定の成果を挙げることが出来るのか、という印象を抱いた。p.322
どんくさいおかんがキレるみたいな。―方言が標準語になるまで (新潮文庫) 解説(岡島昭浩)より p.322